このチュートリアルのほとんどのコード例では latex
というプログラムはほとんど使用せず,代わりに platex
という日本語組版用に拡張されたものを使用します.これは数ある LaTeX の子孫にあたるプログラムの1つです.現在 platex
は日本語組版に最もよく用いられているプログラムだと考えられるので,日本語版 Learnlatex ではこのプログラムを中心に解説することに決まりました.
なお英語版 Learnlatex では platex
ではなく pdflatex
が採用されています.これは英語圏では最も広く用いられているシステムで,また PDF を直接出力できるという利点があるのですが,残念ながら日本語組版には適していません.日本語版でも,英語のコード例を扱う際に pdflatex
について説明します.
フォーマットとエンジン
前の追加レッスン で説明したように,LaTeX は TeX と呼ばれるシステムの上に構築されています.LaTeX のようなもののことは「フォーマット」と呼びます.フォーマットとは,TeX が理解できるマクロの集まり(マクロ体系)です.platex
というプログラムを実行すると,実際には「LaTeX フォーマット」を事前に読み込んだ「pTeX」というプログラムが起動されます.pTeX のようなプログラムは一般に「エンジン」と呼ばれます.これは TeX のソースコードを理解するプログラムです.
今日,日本語組版に主に使用されているエンジンは3つです:
- pTeX
- upTeX
- LuaTeX
また,日本語組版には向かないものの,欧米ではよく使用されているエンジンに pdfTeX と XeTeX があります.
こうした多様なエンジンのうち XeTeX と LuaTeX についてはレッスン14で扱うことにします.これらのエンジンの特徴は,pTeX や pdfTeX では難しい,OS にインストールされたフォントの利用が可能であるということです.